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都市計画法および建築基準法の改正について


1 はじめに

平成12年5月19日に都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律が公布されました。平成13年5月18日に施行される予定です。

2 改正の背景

 現行の都市計画法は、急速な都市化による無秩序な市街地の拡大を防止し、計画的な市街化を図ることを主たる目的として昭和43年に制定されました。それから30年以上が経過し、都市をめぐる社会経済情勢は、都市への人口集中の沈静化、モータリゼーションの進展、国民の居住環境に対する意識の多様化など大きく変化してきました。
 また、地方分権のながれに沿い、都市計画に関する事務については、地方公共団体が中心となり、地域の実情にあわせて、進めていく仕組みとなりました。
 今回の改正は、このような状況を踏まえ、都市計画制度全般にわたって見直し、新たな制度を構築しようとするものです。 

3 改正の概要

  改正の主な内容は次の通りです。

(1)都市計画区域の整備、開発及び保全の方針(マスタープラン)を充実させること

 都市計画区域ごとに目指すべき都市の将来像を明確にするため、県にマスタープランの策定が義務づけられました。このマスタープランに即して具体的な都市計画が定められることとなります。

 マスタープランには
 ・都市計画の目標
 ・市街化区域及び市街化調整区域の区分の決定の有無及び当該区域区分を定めるときはその方針
 ・土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針について記載します。(都市計画法第6条の2)

(2)線引き制度及び開発許可制度を見直すこと
@線引き(市街化区域と市街化調整区域との区分)の有無については、これまで法律に基づいて線引きを行う対象都市計画区域が決められていましたが、施行後は原則として県が地域性等を考慮したうえ、マスタープランを通して判断することとなります。

A開発行為の技術基準については、地方公共団体がそれぞれの地域性を考慮し、条例で強化あるいは緩和することができるようになるとともに、最低敷地規模に関する規制の付加が可能となります。(都市計画法第33条) 

B既存宅地確認制度(都市計画法第43条第1項第6号)が廃止されます。 

ここでは、具体的影響があると考えられる既存宅地の廃止について、詳述します。

A  従来の既存宅地確認の制度

(1)市街化調整区域における建築規制
 市街化調整区域内での建築行為は 開発行為がなくすでに宅地となっている土地に建築物を新築・改築・用途変更するだけの行為であっても原則として禁止されています。但し、一定の用途のものは都市計画法第43条の許可を受ければ建築が可能とされていますが、従来からいわゆる既存宅地の確認がされた土地における建築の場合等には法第43条の許可を受ける必要がないものとされてきました。
 したがって、市街化調整区域内の土地であっても、いわゆる既存宅地の確認を受けた土地については、許可を受けることなく建物の建築を行うことが可能とされてきました。

(2)既存宅地の要件
 既存宅地とは、第1に、当該土地か線引きにより市街化調整区域となった日以前から継続して宅地である土地であること、第2に、その土地の周辺に50以上の建築物が連担していること、が要件となっています。
 第1の要件は、
@土地の登記が線引き前から宅地であるか否か
A建築物か線引き前からその土地て登記されているか否か
B土地の宅地並課税や建築物の課税を線引き前から受けているか否か 
C航空写真等で線引き前から建築物があったことかわかる写真かあるか否か 
D現地の状況等々の事情を勘案して認定されてきました。
 第2の要件は 
各建築物の敷地間距離が55m以内でつながり、合計50以上の連担があるか否か等の事情によって認定されてきました。

B  既存宅地確認制度の廃止

 今回の改正都市計画法により既存宅地確認の制度が改正法施行日をもって廃止されることとなりました。
 このため、既存宅地確認を受ける要件を満たしていた土地でも、新法施行後は既存宅地確認の申請をすることができなくなりますので、許可を受けることなく建築物を建築することはできなくなってしまいます。
 また、市街調整区域では、既存宅地の確認を受けていた土地であっても、自己の居住用または自己の業務用の建築物以外の建築物については、改正法の施行日以降は建築することができなくなります。
 改正法施行以降は、既存宅地確認制度を廃止して許可制に移行することになりますが、市街化区域に隣接または近接する一定の地域(都市計画法第43条第1項第6号イの地域)のうち、条例て指定する区域において、条例で定める周辺環境の保全上支障がある用途に該当しない建築物の建築等を目的とする開発行為を許可対象に追加することとなりました。
 同時に、この法律は、経過措置として、従来の基準であれば既存宅地の要件を満たす土地については以下のように定めていますので注意が必要です。

C 現在、建物か建築されていない土地についての経過措置


(1)すでに既存宅地の確認を受けていた土地
 改正法の施行日までに建築すれば問題はないわけですが、いまだ建築していない場合でも経過措置により、改正法施行日から5年以内であれば、自己の居住用または自己の業務用の建築物にかぎり建築することができるこ
とになっています。
(2)改正法の施行前に既存宅地の申請はしたが確認が得られなかった場合
 既存宅地確認の制度は改正法施行日をもって廃止されますが、施行日までに申請されていた既存宅地確認申請は、施行日以降であっても確認することができます。この場合は、確認日から5年以内てあれは自己の居住用ま
たは自己の業務用の建築物にかぎり建築することができることになっています。
(3)経過措置により建築可能な建築物
 施行日から5年以内に建築が認められるのは、自己の居住用または自己の業務用の建築物に限られます。
 自己の居住用とは、自分や家族か生店の本拠として使用する場合をいい、賃貸や分譲を目的とする住宅は含まれないことになります。
 自己の業務用とは、継続的に個人や会社が自分自身の業務として行う事業にかかわる経済的活動が行われるものをいい、貸事務所や貸店舗は含まれないことになります。
 したがって、賃貸マンション、分譲マンション、貸家、下宿、建売住宅、貸店舗、貸事務所、貸工場等の建築物は、自己の居住用または自己の業務用に該当しない建築物ですので、法施行日以降は建築ができないことになります。

D 現在、建築物がある既存宅地についての経過措置


(1)改正法施行日までに建築済みの建築物についての増改築や建替えの可否
 これらは、旧法により適法に建築されえ建築物ですから、従来の建築物と同一規模・用途・構造であれば、改正法施行後5年以内であろうと5年以降であろうと関係なく、許可不要で行うことが可能です。
 したがって、既存宅地に建築済みの住宅を購入した場合は、用途は改正法施行日で限定されますが、同一規模・用途・構造の要件を満たせばいつでも建替えは可能です。
 間題は、同一規模とは何かといっことです。以下の占に注意してください。
(2)同一規模の要件
 ここていう同一規模とは、床面積で従前の床面積の1.5倍以内で同一戸数のものをいいます。
 したがって、既存宅地の確認を受けて建築されていた2DKの4世帯、合計160uのアパートを、2DKの6世帯、合計230uのアパートに建て替えることは、床面積は160uから230uへと1.5倍以内ですが、戸数が4世帯から6世帯と増えているため不可となりますので注意が必要です。


(3)良好な環境の確保のための制度を充実させること
@良好な都市環境を確保するために、線引きを行っていない都市計画区域内で用途地域が定められていない区域において市町村が特定用途制限地域を定め、当該区域の良好な環境の形成・保持を図る観点から、望ましくない用途の建築物等の建築を制限できることとなります。(都市計画法第8条) 

A市街地や郊外部に小規模に残された貴重な緑地等の保全を図るため、小規模な風致地区の都市計画決定及びその規制内容を定める条例の制定が市町村において可能となります。(都市計画法第58条) 

B都市計画区域内で用途地域の指定のない区域において、土地利用の状況に応じ、特定行政庁が容積率・建ぺい率等を選択できることとなります。(建築基準法第52条6、53条4、56条)


(4)都市計画区域外における開発行為・建築行為に対する規制の導入
@都市計画区域外において土地利用の整序や景観の維持等を図るため準都市計画区域制度が創設されます。
  この準都市計画区域において市町村は用途地域、風致地区等土地利用の整序のために必要な都市計画を定めることができます。(都市計画法第5条の2) 

A都市計画区域、準都市計画区域以外の区域においても、一定規模(1ha予定)以上の開発行為については都市計画法に基づく開発許可制度を適用することとなります。(都市計画法第29条)


(5)既成市街地の再整備のための新たな制度を導入すること
@既成市街地において、複合的な土地利用が図れるように道路、河川、駐車場等の都市施設について、立体的都市計画決定制度が導入されます。(都市計画法第11条) 

A都市基盤が十分整備されている商業地域内の一定の区域において、当該区域全体の土地の高度利用を図ることを目的とする特例容積率適用区域制度が創設されます。(建築基準法第52条の2) 

B一定条件の区域に限定されていた地区計画の策定対象地域が拡大されます。(都市計画法第12条の5)

C隣地側に壁面線の指定等がある建築物について、許可により建ぺい率制限を緩和できることとなります。(建築基準法第53条第4項)


(6)都市計画の決定手続きを合理化すること
@都市計画について住民に対する説明責任の向上を図る観点から、地方公共団体が都市計画を定める際には、法定の都市計画図書に併せ、都市計画を定める理由を記載した書面を縦覧することが義務づけられます。(都市計画法第17条) 

A都市計画の案の作成について県と市町村の役割が明確になります。 具体的には、県が都市計画の案を作成する場合には、市町村に対して必要な資料の提供その他の協力を求めることができることとし、一方、市町村から県に対して都市計画の案を申し出ることができることとなります。(都市計画法第15条の2) 

B市町村は、地区計画等の案の作成についてなされる地域住民からの申し出方法を条例で定めることができることとなります。(都市計画法第16条)

2001-05-02.WED


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