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平成18年度不動産関連税制改正の概要

 税理士 桧垣好伸

「平成18年度税制改正の要綱」(平成18117日閣議決定)およひ「国土交通省平成18年度税制改正主要項目結果概要」(平成171215日)などをもとに、住宅・土地税制に関する主な改正点についてまとめてみました。

1安全・安心の確保

 耐震性か確保された良質な住宅や建築物ストックの形成を促進するため、次の特例措置か創設されます。

1)既存住宅を耐震改修した場合の所得税額の特別控除制度

 居住者が平成1841日から平成201231日までの間に、一定の区域内(注1)において、その者の居住用家屋(昭和56531日以前に建築された家屋で一定のもの)の耐震改修(注2)をした場合には、その者のその年分の所得税の額から次の金額が控除(注3)できます。

住宅耐震改修に要した費用の額×10%=税額控除額(20万円を限度)

(注1)一定の区域とは、住宅耐震改修のための一定の事業を定めた以下の計画の区域をいいます。

@地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法の地域住宅計画
A建築物の耐震改修の促進に関する法律の耐震改修促進計画
H住宅耐震改修促進計画(地方公井団体か地域の安全を確保する見地から独自に定める計画)

(注2)耐震改修は建築基準法に基づく現行の耐震基準(昭和5661日施行)に適合させるための耐震改修(住宅耐震改修)をいいます。

(注3)この税額控除は確定申告書に次の書類等の添付が必要となります。
@ 税額控除に関する明細書
A地方公共団体の長の当該一定の区域内の家屋である旨を記載した書類
B住宅耐震改修をした家屋である旨および住宅耐震改修の費用の額を記載した書類等

2)既存住宅を耐震改修した場合の固定資産税の減額措置

 昭和5711日以前から存していた住宅について平成1811日から平成271231日までの間に建築基準法に基づく現行の耐震基準(昭和5661日施行)に適合させるよう一定の改修工事(1戸当たり工事費30万円以上のもの)を施した場合においてその旨を市町村に申告したものに限り、その住宅(1戸当たり120u相当分まで)に係る固定資産税額が2分の1減額されます。

平成1821年に改修した場合 3年度分減額
平成2224年に改修した場合 2年度分減額
平成2527年に改修した場合 1年度分平成

(注)減額を受けるには、耐震基準に適合した工事であることにつき、地方公共団体、建築士、登録住宅性能評価機関または指定確認検査機関が発行した証明書を添付して、 改修後3月以内に市町村に申告しなければなりません。

3)事業用建築物に係る耐震改修促進税制(所得税・法人税)

建築物の耐震改修の促進に関する法律の改正に伴い、青色申告書を提出する事業者が 平成1841日から平成20331日までの間に、特定建築物(事務所、百貨店、 ホテル、賃貸住宅等の多数の者が利用する一定規模以上の建築物)について、同法の認定計画に基づく耐震改修工事を行った場合(その特定建築物につき耐震改修に係る所管行政庁の指示を受けていない場合に限ります)には、その工事に伴って取得等をされる建物の部分について10%の特別償却ができる措置が講じられます。

2 土地・住宅税制

1)登録免許税

 登録免許税は、法務局で不動産の登記をするときにかかる国税で、原則として、その不動産の固定資産税評価額に税率(登記の種類により異なります)を乗じて計算します。

 今回は、次のような改正があります。

@ 土地に関する特例措置

 土地に関する次の登記の税率については、平成20331日までの措置として引き続き軽減されます。

 イ 売買による所有権の移転登記

   1000分の10(本別1000分の20

 ロ 所有権の信託の登記

   1000分の2(本則1000分の4

A 特例措置の廃止

  平成15年度改正において講じられた不動産登記に係る税率の特例(本則税率を半分にする措置)は所要の措置を講じた上、適用期限(平成18331日)の到来をもって廃止されます。

(具体例)
 
 イ 所有権の保存登記

   1000分の21000分の4(改正後)

 ロ 家屋の売買による所有権の移転登記

   1000分の101000分の20(改正後)

(注)住宅用家屋については、一定の要件の下で平成19331日までの軽減措置(保存登記:1000分の15、移転登記:1000分の3)があります。

B 特定目的会社か資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の税率の軽減措置税率を引き上げた上、適用期限が平成20331日まて2年間延長されます。

 イ 所有権の移転登記

   1000分の61000分の8

 ロ 質権または抵当権の移転登記

   1000分の11000分の1.5

C 認定民間都市再生事業計画に基づき土地等を取得した場合等の所有権の移転登記等に対する税率の軽減措置

  適用対象を認定事業者とするとともに、軽減税率を引き上げた上、適用期限が平成19331日まで1年間延長されます。

 イ 土地の所有権の移転登記

   1000分の71000分の8

 ロ 建物の所有権の保存登記(国土交通大臣の認定日から3年以内に建築した場合)

   1000分の1.51000分の3

D マンション建替事業の施行者等が受ける権利変換手続開始の登記等に対する免税措置

  適用期限が平成20331日まで2年間延長されます。

2)不動産取得税

 不動産取得税は、不動産を取得したときに、その取得者に対して、その不動産の所在地の都道府県が課税する地方税です(相続による取得は、非課税)税額は原則として、 固定資産税評価額(宅地は、その2分の1の額)に税率を乗じて計算します。住宅や住宅用地については、一定の要件の下で、軽減措置があります。

 今回は、次のような改正があります。

@ 標準税率の特例措置(本則4%→特例3%)

 イ 土地および住宅については、特例措置(3%)が平成21331日まで3年間延長されます。
 ロ 住宅以外の家屋は、特例措置(3%)か廃止されますが、経過措置として、平成1841日から平成20331日までの2年間は、3.5%とされます。

土地・住宅 

3%(3年間)

家屋(非住宅)

3.5%(2年間)

A 宅地および宅地比準土地の課税標準を評価額の2分の1とする特例措置

  平成21331日まで延長されます。

B 住宅用土地の減額措置

  この制度は、土地取得後2年以内(特例:平成18331日までの取得は3年以内)に特例適用住宅を新築した場合に、200uを限度として住宅の床面積の2倍までの税額を減額する措置です。

  今回の改正では、期間要件を3年に緩和する特例措置の適用期限が平成20331日まで2年間延長されます。

C 新築住宅を宅地建物取引業者等が取得したものとみなす日の特例措置

  住宅新築の日から1年(本則6月)を経過した日に緩和する特例措置の適用期限が平成20331日まで2年間延長されます。

D マンション建替事業に係る特例措置

  マンション建替事業の施行に伴いやむを得ない事情により転出する者が取得する土地に係る課税標準の特例措置(価格の5分の1を控除する措置)の適用期限が平成20331日まで2年間延長されます。

3)住宅取得等資金に係る相続時精算課税の特例(贈与税)

 相続時精算課税制度は、その年の11日において65歳以上の親から同日において20歳以上の子への贈与について、暦年単位の贈与税制度に代えて、2500万円までの非課税枠を選択できる制度です。 贈与財産が住宅取得資金の場合には、定の要件の下で 非課税枠を1000万円上乗せして3500万円にするとともに、親の年齢か65歳末満でもかまいません。 ただし、この制度(選択後は変更できません)による贈与財産は相続時に相続財産と合算されることを承知しておく必要があります。

 今回の改正では、適用期限が平成191231日まで2年間延長されます。

4)固定資産税

@ 土地に係る税負担の調整措置(平成18年度から平成20年度まで)

イ 平成18年度評価替え(平成18年度は評価替えの基準年度)に伴い、商業地等に係る課税標準額の法定上限(評価額の70%)を維持するとともに、平成16年度から講じられている地方公共団体の条例による減額制度(負担水準の上限を60%から70%の範囲で引き下げられる制度)が継続されます。また、課税の公平および制度の簡素化の観点から、負担水準が低い宅地について、その均衡化を一層促進する措置が講じられます。

(商業地等の場合の負担調整措置)

負担水準 

負担調整措置

70%を超える土地

負担水準を70%とした場合の税額まで引き下げ

    評価額×70%=課税標準額

60%以上70%以下 の土地

前年度の課税標準額を据置き

60%未満

の土地

(なだらかに上昇)

前年度の課税標準額+評価額×5%=課税標準額

(注)上限:評価額の60%相当額

    下限:評価額の20%相当額

※負担水準=前年度の課税標準額/当該年度の評価額×100(%)

 住宅用地の場合は、分母の当該年度の評価額に住宅用地特例率を乗じた額となります。

(住宅用地の場合の負担調整措置)

負担水準

負担調整措置

80%以上の土地

前年度の課税標準額を据置き

80%未満の土地

(なだらかに上昇)

前年度の課税標準額+評価額×住宅用地特例率(1/6または1/3)×5%=課税標準額(注)

(注)上限:(評価額×住宅用地特例率)の80%相当額

    下限:(評価額×住宅用地特例率)の20%相当額

ロ 据置年度(平成1920年度)において簡易な方法により価格の下落修正ができる特例措置は継続されます。

ハ 著しい地価下落に対応した臨時的な税負担の据置措置は廃止されます。

A 新築住宅に係る固定資産税の減額措置

 この制度は、新築住宅で一定の要件を満たすものについて、税額の2分の13年間または5年間減額する措置です。

 今回の改正では、適用期限が平成20331日まで2年間延長されます。

B 高齢者向け優良賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置

  この制度は、高齢者向け優良賃貸住宅のうち一定のものについて、税額の3分の25年間戚額する措置です。

  今回の改正では、適用期限が平成20331日まで2年間延長されます。

C 特定優良賃貸住宅に係る固定資産税の減額措置

  この制度は、特定優良賃貸住宅のうち一定のものについて、税額の5分の35年間減額する措置ですが、所要の経過措置を講じた上で廃止されます。

D 特定市街化区域農地を転用して新築した一定の貸家住宅およびその敷地に係る固定資産税の減額措置

  次のとおり見直しを行った上で、適用期限が平成21331日まで3年間延長されます。

 イ 第一種中高層耐火建築物である貸家住宅

   最初の5年間 4分の3減額→3分の2減額

   その後5年間 3分の2減額→3分の1減額

 ロ 敷地

   最初の3年間 3分の1減額→6分の1減額

E 防災命区整備事業に係る固定資産税の減額措置

  この制度は、防災命区整備事業の施行に伴い従前の権利者が取得する一定の家屋に係る減額措置(居住部分3分の2・非居住部分3分の15年間減額する措置)です。

 今回の改正では、適用期限が平成20331日まで2年間延長されます。

5)特定の資産の貫換えの場合等の課税の特例(所得税・法人税)

 この特例は、事業用資産の買換えをした場合に一定の要件の下で、譲度資産の議度益の80%相当額までの課税の繰り延べを認める制度です。

 今回の改正では、次の見直しを行った上、適用期限が平成231231日まで5年間延長されます。

@ 次の買換えが適用対象から除外されます。

 イ 誘致区域の外から内への買換えのうち、工場立地法に係る措置、都市計画区域内の造成団地に係る措置その他一定の措置

 ロ 低開発地域工業開発地区に係る措置

 ハ 特定農山村地域内の所有権移転等促進計画に定めるところによる買換え

 ニ 沿道地区計画の区域内の沿道整備権利移転等促進計画に定めるところによる買換え

A 譲度資産が土地等である場合の面積要件について、市街化区域または既成市街地等の内から外への買換えのうち畜産農業用の特例か廃止されます。

B 誘致区域の外から内への買換えのうち、臨海地区または港湾区域内の公有水面の埋立地の区域に係る措置について、買換資産を流通業務の総合化および、効率化の促進に関する法律の認定総合効率化計画に記載されたものに限定することとされます。

6)国有財産の効率的な活用を推進する措置(所得税・法人税)

 国有財産の効率的な活用を推進するための国有財産法等の一部を改正する法律(仮称)による国有財産特別措置法の普通財産である一定の土地(以下「特定の土地」という)とその隣接する土地(当該特定の土地の上に存する権利を含む)との交換の特例の創設に伴い、当該隣接する土地を有する個人または成人が当該交換の特例により当該隣接する土地と当該特定の土地との交換をしたときは、一定の要件の下で、課税の繰延べの特例措置を講ずることとしています。

3 中心市街地活性化対策の推進

 中心市街他活性化に関する法律(仮称)の制定に伴い、次の措置か講じられます。

1)優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率:2000万円以下の部分・・所得税10%・住民税4%)および既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例等(課税の繰延べ:所得税100%・法人税80%)

適用対象となる特定民間再開発事業の施行区域の範囲に、中心市街地活性化に関する法律の認定を受けた基本計画(以下「認定基本計画」といいます)の区域を加えるとともに、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律に規定する特定中心市街地の区域のうち都市再開発法第2条の32項に規定する地区として定められた地区を除外することとされます。

2)特定の資産の貫換えの場合等の課税の特例(課税の繰延べ:所得税・法人税80%)

 適用対象となる誘致区域の外から内への買換えの範囲に、認定基本計画に記載された一定の施設に係る敷地の区域への買換えが加えられます

3)既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例(課税の繰延べ:所得税100%)

 適用対象となる中高層の耐火共同住宅建築事業の施行区域の範囲に、認定基本計画に基づいて行われる中心市街地共同住宅供給事業(都市福利施設の整備を行う事業と一体的に行われるものに限ります。)の施行区域が加えられます。

4)認定事業用地適正化計画の事業用地の区域内にある土地等の交換等の場合の譲渡所得の課税の特例等(課税の繰延べ:所得税・法人税100%)

 適用対象となる区域の範囲に、認定基本計画の区域が加えられます。

5)優良賃貸住宅等の割増償却制度(所得税・法人税)

@ 中心市街地の活性化に関する法律の施行の日から、平成20331日まての間に 認定基本計画に基づく中心市街地共同住宅供給事業により建設される一定の優良な賃貸住宅の取得等をした場合には、5年間割増償却ができる措置か加えられます。

 耐用年数35年末満・・36%割増償却

 耐用年数35年以上・・50%割増償却

A 対象となる賃貸住宅から特定優良賃貸住宅が除外されます。

6)不動産取得税

 認定事業用地適正化計画に基づく土地の交換により、事業用地内の土地に関する権利を有する者(事業者を除きます)が新たに取得する土地に係る課税標準の特例措置(価格の10分の1を控除する措置)について、対象地域に国の認定を受けた一定の中心市街地活性化基本計画の区域が追加されます。

7)その他

 その他所要の整備を行うこととしています。

4 所得税から個人住民税への税源委譲に伴う措置

1)所得税の住宅ローン控除

 平成19年分以降の所得税において住宅ローン控除の適用がある者(平成11年から平成18年までに入居した者に限ります)を対象として、税源委譲に伴い所得税の控除額が減少する場合には、平成19年以降の影響額こついて、翌年分の個人住民税を減額調整する措置が講じられます。

(注)この措置は、対象者の申請に基づき、市町村長が税務署長に照会して減額すべき金額を確定する方法によって実施されます。

2)譲渡所得に係る個人住民税の税率割合

 平成19年度分以降の個人住民税から都道府県分と市町村分の税率割合を税源委譲後の道府県民税(4%)と市町村民税(6%)の割合(4:6)に合わせることとされます。税率の合計額は変わりません。

(具体例)

@ 土地建物等の長期譲渡所得

   道府県民税1.6%→2

   市町村民税 3.4%→3

    合 計  5%→5%(変更なし)

A 土地建物等の短期議度所得

    道府県民税 3%→3.6

    市町村民税 6%→5.4

    合 計 9%→9%(変更なし)

月刊 不動産フォーラム21 より
2006-04-06.THU
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