国土交通省が19日に公表した基準地価。住宅地では、東日本大震災で液状化被害を受けた千葉県浦安市が、震災後初めて全地点で上昇に転じた。
浦安市は震災で市域の8割以上が液状化した。都心まで電車で約20分のアクセスの良さと、「子育てのしやすい街」のイメージなどから地価の回復は早く、10地点全てで上昇した。市平均の上昇率は2・2%だった。
液状化したのは、埋め立てによる宅地開発で造成された地区だ。東京ディズニーリゾートが立地し、高級住宅地として知られているが、住宅被害は8700棟に上った。
今回、震災後初めて0・4%の上昇に転じた同市今川2は、液状化の被害が最もひどかった地区の一つだ。自宅が約30センチ傾いたという女性(73)は「道路に土砂が噴き出て電信柱が傾き、電線が垂れ下がっていた」と震災当時を振り返る。今も道路のゆがみなどが一部で残るが、震災後に地盤を改良して新築した家が多い。近くの男性(57)は「経済的に余裕のある人が多かったためではないか」とみる。
地元不動産会社「明和地所」によると、地価の下落は2013年ごろには底を打ったという。埋め立て地のため、区画整理が行き届き、歩道が広く公園が多いことなどから子育て世代に人気がある。