千葉県内の地価上昇が加速している。国土交通省が19日発表した県内の2019年公示地価(1月1日時点)は全用途平均で1.1%上昇し、6年連続で値上がりした。特に商業地の上げ幅が大きく、船橋市や市川市、浦安市の中心部は20%近く上昇した。再開発効果に加えて、地価の割高感が強い東京都内から投資マネーがシフトしたことも影響したようだ。
県内で地価が上昇したのは638地点で、前年に比べ1割近く増えた。下落は300地点と逆に1割近く減少。調査地点全体に占める上昇地点の割合は52.3%と過半数に達した。
商業地は平均2.9%上昇した。特に値上がりが目立つのは東京に近接する県北西部だ。上昇率で県内トップの市川市八幡2丁目は20.0%値上がりし、前年の伸び(7.8%)を大きく上回った。JR本八幡駅の周辺でタワーマンションの建設が続き、地元の消費人口や購買力の拡大を期待する小売業者などの出店意欲が高まっている。
東京ディズニーリゾート(TDR)の隣駅、JR新浦安駅近くの浦安市美浜1丁目も18.5%と大幅に上昇した。訪日外国人客らの増加を見込み、ホテルの開業や増床が周辺で相次ぐ。
千葉市中心部の中央区富士見2丁目は13.0%上昇。1平方メートルあたり165万円と柏市柏1丁目を抜き、3年ぶりに県内最高価格地点に返り咲いた。JR千葉駅の商業施設「ペリエ千葉」が18年に全面開業し、集客力が高まった。米系不動産サービス大手のCBREは「千葉駅周辺はビルの空室率が低い状態が続き、駅前の物件は新規募集賃料が少しずつ上昇している」と指摘する。
県内の地価調査を担当する不動産鑑定士の佐藤元彦氏は「東京都内は地価上昇で土地の収益性が低下しており、千葉県内が(投資対象として)見直されている」と分析。相対的な割安感を背景に投資マネーが県内に流入した格好だ。
工業地の値上がりも続いている。18年に県内区間が開通した東京外郭環状道路(外環道)の沿道では、松戸インターチェンジ近くの松戸市松飛台が前年比で8.0%値上がり。高谷ジャンクションに近い市川市二俣も5.3%上昇した。高速道へのアクセス改善で物流施設や工場の建設用地として魅力が高まった。
■アクアライン周辺、住宅地上昇目立つ
住宅地の公示地価は平均0.6%上昇し、5年連続で値上がりした。平均価格は1平方メートルあたり10万円で、7年ぶりに10万円台に乗った。
値上がりが際立つのは東京湾アクアラインの出入り口に近い君津、木更津両市。上昇率が高かった上位11地点(9位が3地点)のうち、10地点を両市が占めた。
アクアラインを行き来する高速バスの便数は年々増え、現在は木更津市内のバスターミナルから東京・横浜に向かう便が午前7時台は2~3分おきに発車。通勤・通学に便利となり、若いファミリーなどが移り住む先として人気を集めている。
一方、値下がりが目立つのは野田市。東武野田線の梅郷駅周辺などの区画整理で住宅地が大量供給され需給が緩んだ。