公示地価、10年連続下落
東京都心部などは上昇・2極化一段と
国土交通省が22日発表した今年1月1日時点の公示地価は全国平均で前年に比べ4.9%下がり、10年連続で下落した。企業がリストラクチャリング(事業の再構築)などのため積極的に土地を売却したのが主因で、住宅地は同4.2%、商業地は同7.5%下落した。東京の中心部など条件の良い土地では上昇したところもある。ただ、3大都市圏以外の地方では下落が加速しており、地価の2極化が一段と進んでいる。
公示地価がピークを付けた1991年と比べた下落率は住宅地が32.5%、商業地が58.5%となった。東京圏の商業地の下落率は74.3%に達している。83年を100とした場合の3大都市圏の商業地指数は88.2と81年の水準(90.7)を割り込んだ。
国土交通省は「都心部で上昇地点が増える一方で、大半の地点は下落が続いており、2極化がより進行した」(土地・水資源局)と分析。収益力が見込めたり、都心から近いなど利便性に優れた土地と、それ以外の土地の価格差が拡大したとみている。
住宅地の下落率は東京圏が5.8%、大阪圏が6.7%、名古屋圏が1.9%だった。昨年は東京都区部と名古屋市の住宅地で前年より上昇した地点はゼロだったが、今年は東京で14地点、名古屋で5地点が上昇した。
郊外に住んでいた世帯・個人の中心部回帰を受け、通勤・通学に便利だったり、周辺に飲食店、娯楽施設が立地したりするところでは下げ止まり傾向がうかがえる。半面、郊外は下落に歯止めがかかっていない。
地方の住宅地も大幅に下がった。都道府県別にみると、前年を上回ったのは岩手、島根、高知の3県にとどまっている。
一方、商業地では東京圏と名古屋圏の下落率が縮小したものの、大阪圏と地方は前年とほぼ同程度下がった。今年に入ってから景況感が悪化しているが、昨年までは情報技術(IT)関連や外資系の企業のオフィス需要が底堅く、それを反映して東京圏の商業地8地点で前年より上がった。前年は上昇地点がゼロだった名古屋圏では2地点で上昇に転じた。
人口10万人以上の地方都市の6割以上で下落率が拡大した。大手の百貨店やスーパーが閉店した中心市街地では下落率が2ケタの地点が多かった。
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