基準地価、3大都市圏16年ぶり上昇・全国平均2.4%下落
国土交通省が19日付で発表した2006年の基準地価(7月1日時点)は、東京、大阪、名古屋の3大都市圏で商業地に加えて住宅地も上昇、平均地価は1990年以来、16年ぶりに上昇した。東京都区部は19年ぶりにすべての調査地点で上昇。景気回復による堅調なオフィス需要や投資マネーの流入を背景に、大都市圏を中心に地価反転の動きが広がってきた。ただ、全国平均(全用途)はマイナス2.4%と15年連続で下落した。
全国平均は商業地で2.1%、住宅地で2.3%の下落。地価水準はバブル期のピーク(91年)と比べ、住宅地で約35%下落して83年ごろの水準。商業地は約6割下げ、比較可能な77年以降の最低水準を更新した。下げ幅は3年連続で縮小した。
脱「土地デフレ」色濃く・基準地価
国土交通省が発表した2006年の基準地価は、地価反転の動きが大都市中心部から周辺地域へと着実に広がっていることを示した。東京都心では景気回復がビル賃料の上昇をもたらし、地価を引き上げる「経済の順回転」の構図が鮮明。三大都市圏は「土地デフレ」の終息も見えてきた。不動産市場への投資マネーの流入は続き、一部には過熱を懸念する声もある。
商業地の平均地価が11.4%上昇し、19年ぶりに2ケタ台の伸び率を記録した東京都千代田区。地価上昇のけん引役は、丸の内地区のオフィスビルだ。JR東京駅前では来春開業する「新丸ビル」(198メートル、地上38階建て)の建設が進む。賃料は3.3平方メートル当たり6万円前後と全国最高水準。それでもテナントはすでにほぼ埋まった。企業の業績回復を受けてオフィス需要は強く、東京都心の賃料は上昇傾向にある。
マイホーム、また遠く?・東京圏地価16年ぶり上昇
国土交通省が19日付で発表した2006年の基準地価で、東京圏の住宅地が16年ぶりに上昇に転じるなど地価反転が鮮明になった。地価上昇に加え、金利や消費税率の引き上げ観測が広がるなか、初めて住宅を購入する30歳代の「団塊ジュニア」世代は「バブル期のようにマイホームが手に届かなくなる」と焦りを見せている。
「23区内が希望だったけど……」。東京都大田区の男性会社員(34)は6月末、武蔵小杉駅(川崎市)近くに建設中の分譲マンションを約4500万円で購入した。「マイホームは結婚してからと思っていたが、先延ばしにすると、物件だけでなく金利もどんどん上がるような気がして」と踏み切った。この会社員は当初、勤務先に近い東京23区内でマンションを探したが、「都内は高騰していて、4000万円台の予算では自分が希望する駅近の物件は手が出なかった」という。
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