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路線価4年ぶり下落、09年分マイナス5.5% 東京、下げ幅2位 |
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国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる09年分の路線価を公表した。全国約37万地点の標準宅地1平方メートル当たりの平均路線価は、前年を5.5%下回る13万7000円で、4年ぶりに下落した。東京、大阪、名古屋圏とすべての都道府県で下落し、世界的な景気悪化や投資マネーの減少を背景に、地価は総崩れの様相となった。 全国の平均路線価はバブル崩壊直後の92年をピークに、05年まで下がり続けた。しかし、06年に0.9%増とわずかながら上昇に転じると、07年に8.6%増、08年に10.0%増と急激に上昇した。 今年の路線価を都市圏別に見ると、前年に10%を超える大幅な伸びを記録した東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)が6.5%減、名古屋圏(愛知)が6.3%減となり、「ミニバブル」と呼ばれた急激な価格上昇の反動が表れた形だ。前年の伸びが7.4%だった大阪圏(大阪、兵庫、京都、奈良)も3.4%減となった。 都道府県別で最も下げ幅が大きかったのは福岡県で8.6%減。続いて▽東京都(7.4%減)▽岩手県(7.3%減)▽宮城県(6.8%減)などの順。地方の拠点都市である福岡県や宮城県では前年に10%前後の伸びを記録。その時期に新築ビルの供給が急増したものの、空室のオフィスが増え、賃料が下がった影響で地価が押し下げられたとみられる。 路線価は1月1日時点で算出されるため、「昨年9月のリーマン・ショックを契機とした景気悪化が十分に反映されていない」と指摘する専門家もいる。 石沢卓志・みずほ証券チーフ不動産アナリストは「東京や名古屋など不動産投資が過熱していた地域では、今後も下落が続くだろう」と予測する。 一方、都道府県庁所在地の最高路線価では、新潟、富山、岐阜、津、奈良、和歌山、山口、長崎の8市が前年と同額の横ばい。前年にそれほど高い伸びを示しておらず、道路などの環境整備が重なったためとみられる。 全国の最高額は東京都中央区銀座5丁目の文具店「鳩居堂」前の3120万円(前年比2%減)で24年連続のトップ。銀座中央通りを挟んだ百貨店「三越」と時計塔で知られる「和光」前も同額だった。 路線価下落:都心バブルはじけ 凍り付く商業地 国税庁が1日に公表した09年分の路線価は、景気悪化と金融不安を背景に4年ぶりに下落した。東京、大阪、名古屋圏とすべての都道府県で下落し総崩れとなる中、都心の商業地では再開発が中断したままの地域もある。贈与税や相続税の算定基準となる路線価は1月1日現在の地価をもとに算出しているが、算出時点から半年たった今も経済の厳しさは続き、地価は依然として下落傾向が続いている。住宅地などごく一部に回復の兆しが見えてきたものの、面的な広がりにはほど遠い。
東京都心の顔の一つになった表参道ヒルズ(渋谷区神宮前)。道路をはさんだその向かいに、立ち入り禁止の札がかかった6階建てテナントビルがある。 08年2月に不動産開発会社のアーバンコーポレイション(広島市)がこのビルを購入し、200億円をかけて周辺のビルを含めて建て直し、再開発する計画だった。だが、昨年8月に同社は資金繰りが行き詰まり破綻(はたん)、再開発は手つかずのままとなった。 周辺の地価は、06年2月の表参道ヒルズのオープンとともに高騰し始めた。1平方メートル527万円だった路線価は、2年後の08年には1192万円にまではね上がった。 アーバンコーポが購入したビルは、06年に港区内の不動産業者が再開発のために買収。その当時、このビル内で開業していた歯科医(63)は、立ち退き料として2億数千万円を受け取ったという。外資などの投資マネーが不動産市場に流入して土地やビルを買いあさり、不動産市況が高騰し、「周辺のビルはどこも満室。表参道が突然騒がしくなった」。 ところが、今年の路線価は5.8%下落の1123万円。地価の反落に伴い、資金繰りがつかなくなった開発計画が次々に中止に。土地取引は現在も凍りついたままだ。 みずほ証券チーフ不動産アナリストの石澤卓志氏は「表参道ではファンドなどによる短期間の転売が繰り返された。だが、地価下落で、未開発の空き地や駐車場が50カ所以上残った」と話す。 商業地の地価に大きな影響を与えるオフィスビルの実需は、景気低迷に伴い昨年から減少傾向が続く。オフィス仲介の三鬼商事によると、東京都心5区の5月の空室率は6.96%と、16カ月連続で上昇している。 ◇住宅一部に「値ごろ感」「キッチンの色調は選べますか?」。東京都江東区に建設中のマンション「PARK HOUSE清澄白河TOWER」のモデルルームでは案内スタッフに来場客の質問が続く。 地上35階建て、総戸数378戸の大型物件。中心価格帯は5000万円台と高めだが、週末には100人の見学予約枠がいっぱいになる。家族でモデルルームを訪れた会社員の男性(36)は、「子供が増えたので広い物件を探している。経済的な余裕はないが、必要なので購入を検討している」。 開発した三菱地所の担当者は「都心部はこれまで高すぎて手が出なかった層が動き出している。立地の良い物件は高額でも実需が戻りつつある」と手応えを語る。 住宅ローン減税や贈与税減税などで消費者心理はやや好転し、「今は買い時」とみる人が増えてきたが、住宅市場全体はまだ冷え込んだままだ。5月の新設住宅着工戸数は前年同月比30.8%減で、「明るい材料は見いだしにくい」(国土交通省総合政策局)。不動産経済研究所が公表している首都圏、近畿圏のマンション発売戸数も低水準が続く。 東京カンテイの中山登志朗上席主任研究員は「モデルルームが活況なのは、もともと購入を検討していた人が戻っただけ。給料や雇用に不安がある中では、住宅市場は本格回復しないだろう」と指摘している。 ◇投資マネー 回帰の兆し昨秋のリーマン・ショックで不動産市場から流出した投資マネーが、わずかに戻ってきている。不動産投資信託(リート)の投資口(株式に相当)の時価総額の推移を示す東証リート指数(03年3月31日=1000)は、昨年10月に過去最安値の704.46をつけたが、今年5月下旬から上昇に転じ、1日には約9カ月ぶりに一時1000を超えた。 株価がやや持ち直していることや、政府が官民一体ファンドの設立などでリートの資金繰りを支援する方針を打ち出したことが、投資家に安心感を与えたためとみられる。不動産市況の底入れが近いと見込んだ大和証券グループ本社は先月、リート事業への参入を発表した。ただ、東証リート指数はピークだった07年5月(2612.98)の4割以下の水準にとどまる。 |
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2009-07-02.THU |
毎日新聞・ 日本経済新聞・千葉日報
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