国土交通省が21日発表した2010年の基準地価(7月1日時点)は東京、大阪、名古屋の三大都市圏の全用途平均で前年比3.2%下落した。下落率は09年の6.1%に比べ半減した。08年秋のリーマン・ショック以降に冷え込んだ不動産投資が持ち直しつつあり、全国平均の下落率も3.7%(09年は4.4%)に縮小した。ただ地方圏では下落率がわずかに拡大。不動産取引の低調ぶりを反映した。
2010年基準地価の変動率(%)
|
住宅地 |
商業地 |
全用途 |
全国 |
▲3.4 |
▲4.6 |
▲3.7 |
(▲4.0) |
(▲5.9) |
(▲4.4) |
三大都市圏 |
▲2.9 |
▲4.2 |
▲3.2 |
(▲5.6) |
(▲8.2) |
(▲6.1) |
東京圏 |
▲3.0 |
▲4.1 |
▲3.3 |
(▲6.5) |
(▲8.9) |
(▲6.9) |
大阪圏 |
▲3.6 |
▲5.3 |
▲4.0 |
(▲4.5) |
(▲7.1) |
(▲5.0) |
名古屋圏 |
▲1.3 |
▲2.9 |
▲1.8 |
(▲4.2) |
(▲7.3) |
(▲4.9) |
地方圏 |
▲3.6 |
▲4.8 |
▲3.9 |
(▲3.4) |
(▲4.9) |
(▲3.8) |
(注)7月1日時点、前年比、カッコ内は前年、▲は下落
全国全用途平均で基準地価が前年に比べて下落するのは1992年以来、19年連続。下落率は07年に0.5%まで縮小した後、08年から拡大し、今年は3年ぶりに縮小した。用途別の下落率は住宅地が3.4%(09年は4.0%)、商業地が4.6%(同5.9%)。
三大都市圏は2年連続で下落したが、住宅地が先行する形で持ち直しの動きがみられる。住宅地の下落率は2.9%(同5.9%)まで縮小。住宅価格の値ごろ感に加え、住宅ローン金利の優遇策などで需要が回復傾向にある。商業地の下落率も4.2%(同8.2%)に縮まった。オフィス需要に底打ち感が出始めたほか、再開発地区では地価が上昇に転じた。
名古屋圏の全用途平均の下落率は1.8%で、東京圏(3.3%)と大阪圏(4.0%)を下回った。名古屋市郊外の同市緑区では住宅地、商業地の平均がともに上昇。東京圏では川崎市中原区の住宅地がほぼ横ばいで、商業地は上昇した。
地方圏の全用途平均は3.9%下落し、09年(3.8%)から拡大した。商業地の下落率は縮小したが、住宅地が拡大した。
今回の調査地点約2万2000カ所(林地など除く)のうち、この1年間で上昇した地点は27カ所と、09年の3カ所からわずかに増加。横ばい地点も09年の257カ所から302カ所に増えたが、上昇・横ばい地点が全体に占める割合は1.5%にすぎない。
このところの円高・株安で景気の先行き透明感はぬぐえず、地価の下落基調が反転する勢いはまだない。