千葉外房,田舎暮らし不動産情報

千葉外房の田舎暮らしHOMEへ >> Topics>>2015年路線価

路線価上昇:背景に円安で外国人投資家の不動産取得増加


 国税庁が1日発表した路線価が東京など大都市圏で上昇した背景には、円安を背景にした外国人投資家による不動産取得の増加がある。ただ、1〜2年後には地価がピークに達するという見方が多く、上昇が続くかは見通せない。

 東京・JR目黒駅から徒歩5分の複合施設「目黒雅叙園」。ホテルや結婚式場があり、オフィス棟にはアマゾンジャパンの本社などが入る。

 森トラストが昨年8月に取得し、今年1月に中国政府系ファンドも投資する米ファンドへ売却した。取引額は非公表だが、森トラストの取得額が約1300億円、売却額が1400億円超とみられている。半年足らずで100億円以上高騰した形だ。

 ニッセイ基礎研究所によると、2014年の海外投資家による日本国内の不動産取得額は前年比約3割増の約9000億円。10億円以上の物件の取引に限ると、国内全体の約2割を占めた。

 この1年でも、JR東京駅に近いオフィスビル「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」など、100億円以上の大型物件取得が相次ぐ。ニッセイ基礎研の増宮守・准主任研究員は「オフィス取引に限れば、海外投資家の取得額は08年のリーマン・ショック前のピークに近づいている」と分析する。

 個人も買い意欲は旺盛だ。不動産仲介大手「東急リバブル」では、14年度に外国人が購入した物件の総額は前年比76%増で、今年度に入っても増加ペースは衰えていない。「中国などの投資家が物件を探しにほぼ毎日訪れる。マンションやオフィスを1棟ごと買う人も多い」という。

 海外投資家が日本の不動産に注目しているのは、円安効果が大きい。12年秋以降、1ドル=80円前後から120円台まで円安が進んだため、海外投資家にとって日本の不動産は割安になっている。20年の東京五輪に向けて価格がまだ上がるという強気の見方もある。

 不動産投資信託(REIT、リート)による物件獲得競争も価格を押し上げている。リートの利回りは3〜4%前後で、低金利の今は魅力的な投資先。日銀の金融緩和でお金が大量に出回っており、国内の機関投資家の運用先として、リートが見直されている。6月30日現在のリートの時価総額は約10兆6000億円で、1年前より25%増えた。

 過熱気味の不動産市況に対しては懸念もある。ニッセイ基礎研が市場関係者に不動産価格のピークを尋ねたアンケートでは「16〜17年」と答えた人が52%で最多だった。04〜07年の「ミニバブル」で上昇した不動産価格がリーマン・ショックで急落したような事態が再び起こる可能性もある。

 ◇REIT

 投資家から集めた資金をオフィスビルやマンション、商業施設などの不動産に投資し、賃料収入や売却益を分配する金融商品。Real Estate Investment Trustの頭文字を取ったもので、「不動産投資信託」と呼ばれる。

 不動産投資は一般的に数千万円以上の資金が必要なうえに、借り手や転売先が見つからないなどリスクも大きいが、証券取引所に上場するREITなら1口数万〜数十万円程度の小口投資が可能。1日現在、東証に52銘柄が上場しており、国内株式と同じように取引時間中に自由に売買できる。当期利益の90%超を投資家に分配すれば税金を免除される仕組みがあり、配当(分配金)利回りが比較的高い傾向もある。

 アベノミクスで不動産市況の回復期待が高まった2012年以降投資家の資金が流入、リート上場が相次いでいる。

 


被災地地価:上昇傾向続く 岩手は下げ幅縮小

 東日本大震災で被害の大きかった岩手、宮城、福島の3県の路線価は、復興事業の本格化に伴い前年に続き宮城、福島で上昇、岩手は下落したものの下げ幅は縮小した。沿岸部から内陸に土地を求める動きが高まっており、上昇を後押ししている。

全国で上昇率が最も高かった宮城県。7.4%と高い上昇率になった同県石巻市恵み野2は、JR石巻駅周辺の市中心部から内陸に2〜3キロ入った蛇田(へびた)地区に位置する。三陸道のインターチェンジに近く、郊外型の大型商業施設が集中。震災後は住宅地としても人気が加速している。

 近くの不動産会社「信和物産」の担当者によると、同地区の住宅地の坪単価は震災以前の18万〜20万円から30万円以上まで上昇し「土地価格は高止まりの状態が続いている」という。さらに地区内では、災害公営住宅の建設ラッシュが続き、全線運転再開したJR仙石線の新駅も来年3月に開業予定。「戸建て新築の需要は落ち着いてきたが、驚くような高値での土地取引が今もあり、人気はしばらく続くのではないか」とみる。

 福島県郡山市駅前1も東京電力福島第1原発事故による避難者の住宅再建需要の高まりを受け2年連続で上昇した。県内で避難者数が最も多い、いわき市で土地を買えない避難者が、交通や買い物など利便性の高い郡山市に土地を求める動きがある。JR郡山駅周辺の不動産会社によると「物件が足りていない状態」と言い、同市の鈴木禎夫・不動産鑑定士は「工場地帯で景気に敏感な土地柄に、被災者の住宅需要が重なった」と分析する。

 一方、岩手県では被災した沿岸部で上昇傾向が目立つ。大船渡市盛町の上昇率は4.7%と昨年に続き今年も県内一。「災害公営住宅などの整備が順調なうえ、壊滅した市街地のかさ上げ工事も進み、自宅や商店再建の見通しがついたようだ」と地元の不動産業界関係者は解説する。とはいえ、斉藤俊明・大船渡商工会議所会頭(73)は「路線価は上がったのではなく、震災で下がり過ぎただけ」と話す。実際、2006年分では1平方メートル7万7000円だった価格は被災で半額以下となり、今年分も4万5000円まで「回復」したのが現状だ。

毎日新聞より
2015-07-02.THU
千葉外房の田舎暮らしHOME 路線価・相続税評価額へ
Topicsへ戻る