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公示地価5年連続上昇 20年、台風被災地には爪痕

国土交通省が18日発表した2020年1月1日時点の公示地価は、商業・工業・住宅の全用途平均(全国)が1・4%のプラスと5年連続で上昇した。札幌など中核4市を除く地方圏も0・1%上昇と28年ぶりにプラスに転換した。ただ、訪日客の増加や都市の再開発がけん引する構図で、新型コロナウイルスの経済への打撃が長引けば影響は避けられない。

住宅地は堅調な雇用や超低金利に支えられ、0・8%上昇した。商業地は3・1%上昇となり、それぞれ前年より伸び幅が拡大した。

商業地は東京、大阪、名古屋の三大都市圏では5・4%のプラスとなった。企業が人材獲得のため、ゆとりのあるオフィスや通勤時間を減らせるサテライトオフィスを確保する動きが影響した。訪日客の多い地区を中心にホテルや店舗向けの引き合いも強かった。

地方の中核4市(札幌・仙台・広島・福岡)は伸び幅が11・3%と2桁に達した。訪日客の消費も見込んだ商業施設やオフィスの開発が活発。東京などの不動産価格が上昇したことを受け、より高い投資収益を求めるマネーが地方に流れた。

地価上昇の動きは中核4市を除く地方にも広がった。商業地では香川県がプラスに転じ、24都道府県で上昇した。秋田市では秋田駅周辺で複数の再開発が進んでいることが評価され、27年ぶりに上昇に転じた。住宅地では山形、長崎の両県でプラスに転換した。

もっとも、調査地点に占める上昇地点は全国で48%、地方で37%にとどまり、広がりを欠く。調査後の2月から新型コロナの経済への打撃が強まり始め、地価回復のけん引役である観光地と大都市に影を落としている。

商業地の上昇率が13・3%、住宅地が9・5%で、ともに全国首位となった沖縄県。中国発などのクルーズ船の寄港キャンセルや航空路線の減便により、足元では国際通りなどの繁華街では人出がめっきり減っている。

県内の商業施設でも営業時間短縮などの動きが相次ぐ。地元の不動産鑑定士の浜元毅氏は「影響が長期化すれば不動産の価格にも影響を及ぼしかねない」と話す。

訪日客数は経済情勢や2国間関係に左右されやすく、19年は日本全体で2・2%増にとどまった。地価上昇を持続させるには、暮らしやすい街づくりなど地域の魅力を高める取り組みが欠かせない。

■長野や福島で大幅な下落

2020年の公示地価は19年に日本列島を襲った大型台風が爪痕を残した。浸水被害のあった長野市の住宅地は全国で最大の下落率となった。18年に西日本を襲った豪雨など頻発する自然災害が地価を押し下げる状況が続く。地価上昇が続いた都心でも一服感が見える地域も出始めた。新型コロナウイルスによる逆風も強まり、地価上昇の持続力が試されている。

台風19号で千曲川の堤防が決壊して大規模浸水した長野市の地価は下落した(2019年10月)

19年10月の台風19号の被災地では地価の下落が目立った。長野市では千曲川の氾濫で浸水した4カ所が下落した。堤防が決壊した場所から近く、住宅全壊などの被害が特に大きかった豊野地区(住宅地)の地点の下落率は13・6%と全国最大になった。同地区の3月1日時点の人口は台風前と比べて3%減り、地価下落に拍車をかけた。

台風19号では豪雨により全国71河川の140カ所で堤防が決壊した。

福島県いわき市では上昇基調だった地価を今回の被害が直撃。市役所に近い地点では横ばいまで回復してきた地価が3・1%減となり、浸水があった商業地の地点では19年の1・9%上昇から4・6%減へとマイナスに転じた。宮城県丸森町でも1%未満まで下落幅が縮小していた住宅地の2地点が3~5%のマイナスに落ち込んだ。

公示地価からは長く続いた上昇局面の一服感を示す数字も見て取れる。

19年7月1日時点の基準地価と今回の公示地価の共通地点(約1600地点)の変動率を見ると、半年間の地価上昇率は東京圏の住宅地で0・8%。19年前半の半年間は0・9%で、今回5年ぶりに伸び率が縮小した。商業地でも三大都市圏の上昇率は19年前半が3・2%、後半が3・3%と落ち着いてきている。

全国最高額は今回も東京都中央区銀座4丁目の「山野楽器銀座本店」だったが、伸び幅は19年の3・1%からほぼ横ばいの0・9%に鈍化した。1平方メートルあたり5770万円と既にバブル期の最高価格を上回っている。商業地の価格で2位だった銀座5丁目の「対鶴館」も上昇幅は4・5%から1・2%に縮んだ。

銀座の場合は再開発が一巡したことや、有名店の出店が緩やかになっていることも背景にあるようだ。一般的に不動産価格は都心から地方へ上昇の波が広がっていく。都心の一等地で価格の一服感が出てきたことは地価の潮目の変化を示しているとの見方も多い。

同様の傾向は名古屋圏でも見て取れる。全用途平均の上昇率は1・9%で、19年の2・1%より小幅になった。「名古屋市中心部の中村区や中区の価格水準が上がった」(国土交通省)ことが背景にある。

都市未来総合研究所によれば、国内の不動産取引は6年ぶりに4兆円を割った18年度からやや増加し、19年度は2月までの時点で約3・9兆円に回復した。ただ5兆円前後の取引があった14年度や17年度に比べれば低い水準だ。海外勢の投資意欲はなお強いが、都心の物件価格の高騰による投資利回りの低下もあり、投資に慎重になっている様子がうかがえる。

中核4市を除いた地方圏の商業地では、基準地価との共通地点で比べると19年の前半と後半で伸び率が0・8%で変わらなかった。景気が後退局面入りした可能性も取り沙汰されており、今後は子育て世代の支援や高齢者に優しい街づくりなどの努力がより重要になる。


千葉県公示地価1.3%上昇 商業地・住宅地上げ幅拡大

国土交通省が18日発表した千葉県内の2020年公示地価(1月1日時点)は全用途平均で前年比1.3%上昇し、7年連続で値上がりした。東京近郊を中心に土地の需要が高まり、商業地、住宅地ともに上昇幅が拡大した。工業地の値上がりも目立つ。ただ、新型コロナウイルスが地域経済にも影を落とし始めており、今後の地価動向には不透明感もある。

県内の調査地点(1237地点)のうち、値上がりしたのは657地点と前年に比べて3.0%増加した。下落地点は6.3%少ない281地点だった。東京に近い県北西部や東京湾アクアライン周辺で上昇基調が続く一方、県南部や外房地域は値動きが鈍く、土地需要の地域間格差は依然として大きい。

商業地で最も上昇率が高かったのはJR・京成船橋駅前の船橋市本町4丁目、JR本八幡駅前の市川市八幡2丁目で、いずれも前年に比べて20.0%値上がりした。船橋市本町4丁目は県内の商業地で前年の3位から1位に順位を上げ、34年ぶりに船橋駅前が最高価格地点となった。

船橋市は人口増加が続き、駅周辺を中心に店舗やオフィスの進出意欲が高い。米系不動産サービス大手のCBRE(東京・千代田)によると「船橋駅周辺は満室稼働のビルが多く、空室がほとんどない」。西武百貨店船橋店跡地の再開発への期待感も強く、周辺の土地需要が一段と高まる可能性がある。

市川市八幡2丁目は都営地下鉄新宿線で都心に直結する交通利便性に加えて、周辺でタワーマンションの建設が相次ぎ、地域の消費人口や購買力が高まっているのが商業施設や店舗の進出を後押ししている。

JR津田沼駅周辺の商業地も前年に比べて15%程度値上がりした。総戸数759戸のタワーマンション「津田沼ザ・タワー」など駅周辺の住宅開発が進み、街のにぎわいが高まっている。

住宅地は東京湾アクアラインの出入り口に近い君津市や木更津市の値上がりが続く一方、市川市や浦安市など東京近郊の上昇幅が拡大した。県内の地価調査を担当する不動産鑑定士の佐藤元彦氏は「都心へのアクセスに優れた東京メトロ東西線沿線を中心に住宅地の需要が高まっている」と指摘する。

公示地価は1月1日時点のため、新型コロナウイルスの影響による経済の停滞や土地の収益力低下は織り込まれていない。新型コロナの終息が遅れ、個人消費や設備投資が落ち込む場合、上昇が続く地価動向に変調をきたすおそれもある。

■工業地も値上がり加速

千葉県内で工業地の値上がりが加速している。平均上昇率は3.3%で前年(1.9%)を大きく上回った。東京外郭環状道路(外環道)や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の整備が進み、物流施設や工場の進出ニーズが高まっていることが背景にある。

県内の工業地で上昇率が最も高かったのは松戸市松飛台の11.1%で、東京圏全体でもトップだった。18年6月に外環道の県内区間が開通し、松戸市に初めての高速道路インターチェンジが開設されたことで交通利便性が一気に高まった。

上昇率が県内2位の市川市塩浜3丁目(10.2%)、3位の船橋市潮見町(9.4%)、習志野市茜浜2丁目(同)はいずれも東京湾岸に位置する。東京に近接しているのに加えて、外環道開通で埼玉県や北関東へのアクセスが向上し、土地の魅力が高まった。

ネット通販の市場拡大で物流施設の需要は増加基調が続く。物流施設は仕分けやパッケージングなど流通加工に人手がかかるため、人口流入が続く県北西部への進出は人材確保の面で利点が多い。工業地の地価上昇は当面続く可能性がある。

 
茂原市・長生郡の地価へ (3/19更新)
  2020-03-19.THU
                                   日本経済新聞より
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